ころんくん
今回の記事は、神剣還座の故事を今に伝える熱田神宮の歴史ある神事【神輿渡御神事】をご紹介して行きたいと思います。
神輿渡御神事は毎年5月5日の午前10時から熱田神宮の境内で行われ
御神体である草薙剣が天皇のもとから帰ってきたことを喜ぶ熱田神宮にとってとても大切な神事です。
神楽の音と共に本宮から神輿が担がれ、100名ほどの行列とともに参道を練り歩く様子はなかなかの実物でした!
この記事では実際に神輿渡御神事を目の当たりにしてきた様子や神事の歴史について詳しくお伝えしているので
熱田神宮の歴史を知る参考にしてみてください!
目次
【神輿渡御神事】神剣還座の故事を今に伝える熱田神宮の歴史ある神事
神輿渡御神事は朱鳥元(686)年に御神体である草薙剣が時の天皇(天武天皇)から熱田へ返還されたことを喜ぶ神事です。
神事の内容は、雅やかな装束を着けた約100名の奉仕者が御神宝をささげ持ち、
神輿を中心に行列を整え、本宮から正参道を経て鎮皇門跡(現在の西門)へと進まれ、皇城鎮護の祭典が執り行われます。
祭典では、宮司の祝詞をはじめ様々な儀式を行います。
その中でも巫女による「御剣」と呼ばれる神楽は、熱田神宮でしか見ることのできない珍しい神楽です。
天皇の住む皇居を守護すること
熱田からなぜ御神体が移されたのか?
熱田神宮は古くから草薙剣を御神体とした格式の高い神社として熱田の地に鎮座してきました。
いわば、草薙剣を祀るための神社でもあります。
神社にとって最重要なものがなぜ神社から離れてしまったのでしょうか?
実はこれには大きな事件が背景にあります。
天智天皇7年(668年)に熱田神宮境内で起こった「草薙剣盗難事件」という大事件が発生しました。
御神体である草薙剣が沙門道行という人物に盗まれてしまったのです。
この事件は、日本書紀にも記述が残されており、熱田神宮はもとより全国的に騒がれていたのかもしれません。
新羅へ逃げる沙門道行だったが道中、雨風などの被害に遭い、道に迷って御用となったようです。
返還された草薙剣は熱田へ帰らずに天智天皇の住まう近江大津宮へ保管されることになりました。
その後、天武天皇15年(朱鳥元年)の頃に天武天皇が病に倒れます。
占いによると草薙剣の祟りだという結果が出たので、即日に尾張国の熱田へ返還されることになりました。
返還されたその日の夜に当時の神職らはお酒を飲んで大いに喜びました。
しかし、熱田神宮からすると御神体喪失という大失態なので「オホホ」とひっそりと喜んだそうです。
これが神輿渡御神事の前夜に行われる「酔笑人神事」です。
【酔笑人神事】夜の境内で笑い声が響き渡る熱田神宮の不思議な神事
レポート:神輿渡御神事に参加してみた
それでは、神輿渡御神事の様子をご紹介して行きます!
5月5日午前10時頃、本宮前広場に斎服などを身に纏った神職らがゾロゾロと神楽殿の方からやってきました
一同が揃うと祝詞を読み上げ神事の開始を告げているようです。
次に一同は本宮内に安置されている神輿の周りへ移動し次の祭事が執り行われています。
この時、本宮前には多くの参列客が神輿の登場をまだかと心忙しく待ち侘びていました。
しばらくすると祭事を終えた神職をはじめとした奉仕者が次々に出てきました!
そして、神輿が担がれ行列の進行が始まります。
金色に輝く立派な鳳凰の装飾が青空の下も一際美しく見えます。
行列には雅楽を奏でる演奏部隊もいたので心地いい音色を奏でながらゆっくりと参道を進んで行きました。
僕は神輿を見送った後、ひと足先にメインの神事が行われる西門へ行き、
行列の到着を待ちます。
しばらくすると遠くから雅楽の音が聞こえてきました。
ゆっくりとこちらの方へ近づいてきます。
到着した神輿は西門鳥居の下へ静かに安置され、メインの神事が開始されます。
ひと仕事終えた担ぎ手の奉仕者さんも一安心です!笑
まずは、神様へのお供物をひとつひとつ丁寧にお供えしていき、大宮司による祝詞が口上が唱えられます。
その後は、様々な祭事が滞りなく執り行われ、「御剣」神楽が4人の巫女によって行われました。
神剣を御神体とした熱田神宮ならではの厳格さと美しさを兼ね備えた舞でした。
草薙剣が返還された飛鳥時代から行われている神事と思うと
やはり熱田は素晴らしい歴史を持っていると改めて実感します。
神輿渡御神事は酔笑人神事とセットで一つ
神輿渡御神事は熱田神宮の神事の中でも重要度の高い神事だということがわかります。
御神体である草薙剣が熱田の地へ帰ってきたことを喜ぶ神事です。
熱田神宮を知る上では外せない神事なのでぜひ参加してみることをお勧めします。
また、酔笑人神事は夜7時に灯を消した暗闇の境内で行われる珍神事なのでとても面白いです!
毎年5月4日・5日というゴールデンウィークの中行われるので遠方の方でも参加しやすくなっています!
歴史を知ると神社はより面白くなりますね!
当サイト「神社の図鑑」では他にも熱田神宮に関する様々なことを取り上げているので
これから参拝する予定のある方などがこちらの記事を参考にしてみてください!