高倉下命ってどんな神様?
高倉下命は別名に天香山命と言われ
古事記・日本書紀に登場し、神武東征の場面で神武天皇を助けた神様です。
天火明命の子供であり、尾張氏の遠祖にあたります。
名前に高倉と入っていることから倉の神だったと考えられています。
(高床式だから高い倉=高倉というわけですね)
昔でいう倉とは稲穂や穀物などを貯蔵しておくための意味合いが強く
人が生活していく上でとても重要なものの守り神として信仰されていた神様です。
神武天皇を助ける
カムヤマトイワレビコノミコト(←神武天皇のコト)が三重の熊野にやってきた時、
毒を吐く地元の神に襲われ気を失ってしまいます。
その時、それを見ていたアマテラスオオミカミはタケミカヅチノミコトに助けに行くように命ずるが
自分が行くまでもないと反発します。
その代わりに葦原中国の平定に使ったパワー溢れる霊剣:布都御魂を送ることにしました。
この布都御魂をカムヤマトイワレビコノミコトに届ける役目をもらったのが
たまたま近くに住んでいるタカクラジノミコトなのです。
タカクラジノミコトが寝ていると
夢にタケミカヅチノミコトが突然現れました。
「今からすごい剣を送るからカムヤマトイワレビコノミコトに渡してきてほしい」
このようにタカクラジノミコトに伝えて勝手にいなくなってしまいます。
目を覚ましたタカクラジノミコトは辺りを見渡してふと家の天井を見ると大きな穴が空いていました。
その下に目を向けると一本の剣が屋根の破片とともに横たわっています。
タカクラジノミコトはとりあえず天井を修理した後、
渋々カムヤマトイワレビコノミコトのもとへ向かいました。
毒にやられているカムヤマトイワレビコノミコトに布都御魂を渡すと不思議なことに体の毒はみるみる浄化され元気いっぱいになりました。
その後、カムヤマトイワレビコノミコトは大和を無事平定し、初代天皇である神武天皇へとなっていきました。
このようにタカクラジノミコトはカムヤマトイワレビコノミコトの命の恩人であり、
日本の天皇家を救った重要な人物なのです。
越後国の開拓神となる
カムヤマトイワレビコノミコトが大和を平定し、初代天皇として即位した後
熊野にいたアメノカグヤマノミコトは越後国を開拓するようにと勅使を受けます。
(この章ではタカクラジノミコト改め、アメノカグヤマノミコトとします)
アメノカグヤマノミコトは日本海を船で渡り、新潟県長岡市にある野積の浜に上陸します。
そして弥彦山に拠点を置き、地元の民らに「漁のやり方」「塩のとり方」「農業のやり方」「養蚕のやり方」などの産業を伝えていきました。
これらの活動により越後国は繁栄し、アメノカグヤマノミコトは越後国の開拓神として民衆に崇敬されるようになりました。
現在では越後国の一宮である弥彦山を御神体とした「弥彦神社」に祀られています。
高倉下命はどこからやってきたのか?
タカクラジノミコトはアメノホアカリノミコトの子供であることから元々高天原にいた神様です。
地上に降りてきたのはアメノホアカリノミコトが天孫降臨をした時に一緒に降りてきた三十二柱の一柱です。
その時に熊野にやってきてカムヤマトイワレビコノミコトの話に繋がっていきます。
高倉下命と天香山命は同一神ではない説もある
ここまでタカクラジノミコトとアメノカグヤマノミコトは同じ神様という体で話をしてきましたが
実は同じ神様ではない説もまことしやかに囁かれています。
一応、日本の正式に認められている古代歴史書は古事記と日本書紀です。
しかし、先代旧事本記など他の歴史書を読み解いていくと同一神ではないと書かれています。
アメノカグヤマノミコトの子供がタカクラジノミコトと書かれていたり
いろいろと謎のある神様です。
そもそもアメノホアカリノミコト自体謎の神様なのでその息子はもっと謎が多いのだと思います。
- 天香山命
- 天香語山命
- 天香吾山命
- 天隠山命
- 熊野高倉下命
- 手栗彦命
- 伊夜日子大神
高倉下命の系譜
父:天火明命
母:天道日女命
妻:穂屋媛命
子供:天村雲命
異母兄弟:宇摩志麻遅命
「天忍人命」が初代尾張氏のため
高倉下命は尾張氏の遠祖となっている
高倉下命が祀られている神社
神社名 | 所在地 |
高座結御子神社(高倉下命) | 愛知県名古屋市熱田区高蔵町9−9 |
高倉神社(高倉下命) | 三重県伊賀市西高倉1050-2 |
神倉神社(高倉下命) | 和歌山県新宮市神倉1丁目13-8 |
彌彦神社(天香山命) | 新潟県西蒲原郡弥彦村大字弥彦2887番地2 |
魚沼神社(天香山命) | 新潟県小千谷市土川2丁目699-1 |
尾張戸神社(天香山命) | 愛知県名古屋市守山区大字上志段味字東谷209 |
神様の図鑑でご紹介している神様は
「古事記」「日本書紀」「先代旧事本紀」各地域に伝わる「風土記」
などの情報を辻褄が合うように編纂した内容となっています。
読み手によって解釈の違いなどあるとは思いますが一つの説として理解してもらえれば幸いです。